内容紹介

中国都市のかたちとシステム,その歴史を西洋・日本の都市と比較しつつ,あますところなく解き明かす．郷鎮のルーツをさぐり,都市ギルドの果たす役割に着目,さらに事例研究を合わせる．中国都市の普遍と特殊に迫る社会経済史の決定版,貴重な図版資料も満載．

主要目次

第一章　歴史のなかの都市

1　県城と郷鎮

2　都市のコスモロジー

第二章　都市のシステム

1　定住の結節としての都市

2　都市の社会構造

第三章　都市の解剖図

1　メガロポリス漢口

2　寧波から上海へ

3　台湾の都市化

4　ふたたび鎮について―広東の仏山鎮

担当編集者から

広大な農業社会の中国で,都市化はどのように進んだのか．郷鎮という地方経済の動脈は,いつごろ生じたのか．こうした疑問に的確に答えられる人は少ない．本書は,「プロト工業化」にあった旧中国の都市の実像を,じつにウェーバー以来,はじめて包括的に描いた力作．全土の地理生態を背景に,唐宋変革がもたらした行政と経済の絡みをたどりつつ,市政をリードした同郷・同業の都市ギルドや,伝統的な都市のシンボリズムに及ぶ．都市の成長から眺めた中国全史であるとともに,比較都市論のための決定版といえよう．戦前からの研究史を踏まえ,貴重な図版史料も多数収録．